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Tairaオススメ度:★★★★★
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「みんな、高校卒業おめでとう。最後に先生から話をします。この街を捨てて東京に出て、早稲田大学の教育学部からメーカーに入って、僻地の工場勤務でうつになって、かつて唾を吐きかけたこの街に逃げるように戻ってきた先生の、あまりに惨めな人生の話を――」(「3年4組のみんなへ」)など、Twitterで大反響を呼んだ虚無と諦念のショートストーリー集。
話題の覆面作家、衝撃のデビュー作!
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信じられないくらいに衝撃を受けた作品でした。

一話一話読み進めるたびに、心を深く抉られる、そんな物語でした。

幸せの形とは?
自分が思う幸せの形は果たして分相応の形なのか?

物語の一つにこんなフレーズがありました。
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僕だけは、きっと奥に秘めたセンスが爆発して、そんな連中よりすごいものが作れるー
僕も、他の連中もそう思っていました。
互いを見下し、でも見下すに足りる成果はなく、結果僕らはみんな雰囲気だけでした!
と気付き、低い地べたで、みんな気まずそうにしていました。
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ありきたりな感想になってしまいますが、全ての物語が僕自身を描いているようで、とてもつらくやるせない気持ちになりました。
読み進めるたびに、自分のちっぽけな自尊心を徹底的にズタズタにされるような、そしてバカみたいな自尊心という表現も勿体無いと半笑いされたような、そんな苦しい気持ちになりました。

全く救いのない物語ですが、それでも諦める勇気と、諦めから見つかる何か大切なものを教えてもらえたような、そんな素晴らしい作品でした。

この本に出会えて本当に良かったと思います。