
Tairaオススメ度:★★★★☆
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大手デベロッパーのIR部で勤務する松永光弘は、自社の高層ビルの建設現場の地下へ調査に向かっていた。
目的は、その現場について『火が出た』『いるだけで病気になる』『人骨が出た』というツイートの真偽を確かめること。
異常な乾燥と、嫌な臭い――人が骨まで灰になる臭い――を感じながら調査を進めると、図面に記されていない、巨大な穴のある謎の祭祀場にたどり着く。
穴の中には男が鎖でつながれていた。
数々の異常な現象に見舞われ、パニックに陥りながらも男を解放し、地上に戻った光弘だったが、それは自らと家族を襲う更なる恐怖の入り口に過ぎなかった。
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定期的に読みたくなるのがホラー小説。
今回に手に取ってみたのはこの本でした。
物語は、禍々しい怪物とかが出てくるわけではなく、どちらかといえば人間の奥深くにある欲望や暴力性が抉り出され、遂には正気を失っていく、そういう怖さを感じられる内容でした。
恐怖の対象と対決するのではなく、自分自身が恐怖の対象に変わっていき周囲を巻き込んでいくという展開は、築き上げてきた幸せの形が蝕まれていき徹底的に破壊されていくような嫌な怖さがあって、読み終えた後は不快な余韻が残りました。
とはいえ、ホラー小説は、読み終えた後記憶に残らないことがしばしばあるのですが、この小説は嫌な感じとはいえ記憶にしっかりと残りますので、そういう意味では印象深い作品であることは間違いありません。
日本の古来からのしきたりや呪いや怨霊など、そんなホラー小説が読みたい方には是非お勧めしたい作品です。
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