
Tairaオススメ度:★★★☆☆
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罰を受けても罪は消えない。なら、どう生きていけばいい?
『天使のナイフ』『友罪』『Aではない君と』――
贖罪と向き合い続けた著者だから描けた入魂の傑作長編小説。
「自分は運が悪かっただけだ……」
女性を撥ねるも、逃げてしまった大学生
「やらなければいけないことがあるんだ」
愛する妻を奪われ、犯人の出所を待つ男
ひき逃げ事件の加害者と被害者遺族。両者の運命が交わる先にあるものは――?
深夜、飲酒運転中に何かを撥ねるも、逃げてしまった大学生の籬翔太。
翌日、一人の老女の命を奪ってしまったことを知る。
罪に怯え、現実を直視できない翔太に下ったのは、懲役四年を超える実刑だった。
一方、被害者の夫・法輪二三久は、ある思いを胸に翔太の出所を待ち続けていた。
贖罪の在り方を問う傑作。
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今ひとつ納得がいかない物語でした。
犯した罪を悔い償うといういことのあり方の一つを提示した作品だと思います。
加害者が直面する現実にどう向き合うか。その現実が道理に合っているかどうかは別にして、それでも自分が引き起こした事件が起因しているという事実はあると思います。
しかし被害者遺族は、行き場のない憤りを常に抱え、決して納得のいくものではなく、蟠りは残り続けるものと思います。
この物語では、加害者と被害者遺族の心の葛藤が描かれています。
加害者の公正に向かう気持ちや母を失った遺族の気持ちは、まだ理解できなくはないですが、最愛の妻を失った夫の心情だけは、なかなか理解することができませんでした。
自分も過去に酷い過ちを犯したからといって、自分に降りかかった罪を赦せるということではないのではないかと。
僕の心が未熟だからなのかもしれませんが、そんな感想を抱いた物語でした。
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