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破果
ク ビョンモ
岩波書店
2023-02-22



Tairaオススメ度:★★★★☆
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稼業ひとすじ45年.かつて名を馳せた腕利きの女殺し屋・爪角(チョガク)も老いからは逃れられず,ある日致命的なミスを犯してしまう。
守るべきものはつくらない,を信条にハードな現場を生き抜いてきた彼女が心身の揺らぎを受け入れるとき,人生最後の死闘がはじまる。
韓国文学史上最高の「キラー小説」,待望の日本上陸!
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年老いた殺し屋が物語の主人公。

世の中に溢れているのは、年老いても殺し屋の腕前は一切衰えず、なんだったら経験値が高いという理由で若い殺し屋よりも実力が何倍も上、そんな設定がありがちですが、この小説は、年老いただけ力も判断力も弱くなり、日常の生活さえままならないという設定です。

年老いた主人公が現役の殺し屋から狙われるようになり、どう対抗していくのだろうとハラハラしながら読み進めると、その対決でさえ、現実的に淡々とある意味運任せのように対応していきます。

物語を通して熱が低くどこか投げやりな雰囲気は、物足りなさを感じつつも不思議と引き込まれます。

決して派手さはなく、勧善懲悪でもなく、ただこういう日があった。そんな雰囲気の物語でした。