Tairaオススメ度:★★☆☆☆
---------
なぜ控訴しない?
―施設で育った過去を持つ「僕」は、刑務官として、夫婦を刺殺した二十歳の未決死刑囚・山井を担当していた。
一週間後に迫った控訴期限を前にしても、山井はまだ語られていない何かを隠している―。
芥川賞作家が、重大犯罪と死刑制度に真摯に向き合い、生きる者と死にゆく者をつなぐ最後の希望を描き出す。
----------
殺された人。
死刑を待つ人。
自殺した人。
死んだように生きる人。
いろいろな角度から死について考えさせられた物語だった。
僕は、死を必要以上に美的に語る必要はないし、逆に生を無理やり美しく語る必要もないと考えている。
ただ一つ、死は暴力的に突きつけられるものでは決してないと考えている。
死という瞬間的なものの相対が、それまでの人生の全てではないかと考えている。
そうであれば、それまでの人生が少しでも美しいものであれば良いなと思う。
そして美しいと思える心をもちたいと思う。
そんなことを考えた一冊だった。
コメント