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何もかも憂鬱な夜に
中村 文則
集英社
2009-03-05



Tairaオススメ度:★★☆☆☆
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なぜ控訴しない?
―施設で育った過去を持つ「僕」は、刑務官として、夫婦を刺殺した二十歳の未決死刑囚・山井を担当していた。
一週間後に迫った控訴期限を前にしても、山井はまだ語られていない何かを隠している―。
芥川賞作家が、重大犯罪と死刑制度に真摯に向き合い、生きる者と死にゆく者をつなぐ最後の希望を描き出す。
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殺された人。

死刑を待つ人。

自殺した人。

死んだように生きる人。

いろいろな角度から死について考えさせられた物語だった。

僕は、死を必要以上に美的に語る必要はないし、逆に生を無理やり美しく語る必要もないと考えている。

ただ一つ、死は暴力的に突きつけられるものでは決してないと考えている。

死という瞬間的なものの相対が、それまでの人生の全てではないかと考えている。

そうであれば、それまでの人生が少しでも美しいものであれば良いなと思う。

そして美しいと思える心をもちたいと思う。

そんなことを考えた一冊だった。