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Tairaオススメ度:★★★☆☆
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「これでおまえも一人前だな」入社三年目の夏、常に最下位だった営業成績を大きく上げた修哉。
上司にも褒められ、誇らしい気持ちに。だが売上伝票を見返して全身が強張る。本来の注文の11倍もの誤受注をしていた―。
躍進中の子役とその祖母、凄惨な運命を作品に刻む画家、姉の逮捕に混乱する主婦、祖母の納骨のため寒村を訪れた青年。
人の心に潜む闇を巧緻なミステリーに昇華させた5編。
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タイトルのインパクトに惹かれ手にとった作品。

読んでいて苦しい気持ちになるというか、切なくなるような物語が収められた短編集。

一話目の「目撃者はいなかった」は、小さなミスを隠したことが大きな悲劇につながるという話で、同じサラリーマンとして身につまされるというかなんというか。

僕も小さなミスを犯した際に、ついつい自分だけでなんとか処理できないかと考えてしまいがちだけど、結果それがその場は上手くいったようにみえても、最終的には問題を大きくしてしまうということを何度も経験していて、物語を読んでいてとても苦しい気持ちになった。

表題作の「許されようとは思いません」も、寂しく悲しい物語だけれど、少し救われる結末にようやくホッとした。

人間の愚かさと哀しさを静かに知らされた、そんな作品だった。