Tairaオススメ度:★★★★☆
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東京のヤクザ組織・東鞘会に所属する兼高昭吾は、弟分の室岡と沖縄に飛び、ターゲットの喜納修三を殺害した。
その夜、一人になった兼高は激しく嘔吐する。
実は兼高は警視庁組対部に所属する潜入捜査官だったのだ。
後継者問題をめぐり、東鞘会では血で血を洗う抗争が続いており、喜納殺害はその一環だった。
兼高の最終任務は東鞘会会長である十朱の殺害。
十朱は警察庁を揺るがす、ある“秘密”を握っていた。
ボディガード役に抜擢された兼高は、身分が明かされた瞬間に死が迫る中、十朱への接近を図るが…。
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深町秋生作品に共通しているのが、湿度が高くてジメジメしている、そんな雰囲気。
それでいて暑苦しくなりすぎない絶妙なバランスなので、どの作品も最後まで一気に読み進めることができる。
この物語は、潜入捜査という息苦しくならないはずがないという、重く緊張感あふれる内容を、疾走感溢れる文章で描いていて、手に汗握るという感覚を堪能させてくれる面白い作品だった。
潜入捜査をテーマにした物語の多くに描かれる、ダークサイド側との人間関係が築かれていく様も、奇をてらわず丁寧に描いているので、エンターテイメント作品としてとても楽しく読めた。
とは言え、深町秋生の作品なので、リアルよりもリアリティを追求したフィクション作品と割り切って読むことは必須。
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