
Tairaオススメ度:★★☆☆☆
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30年前に一世を風靡し、「新本格ブーム」を引き起こした伝説の名探偵・屋敷啓次郎。
行く先々で事件に遭遇するものの、その解決率はほぼ十割を誇る──。
時は過ぎて現代、老いたヒーローは資産家一家に届いた脅迫状の謎をめぐり、タレントとしても活躍している探偵・蜜柑花子と対決することになるが……。
名探偵たちの生き様を、鮮烈に描いた第23回鮎川賞受賞作。
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かつての名探偵がなぜ一線を退いたのか、そもそも名探偵とはなんなのか。
例えば自分の推理が冤罪を招いてしまったとか、若手の台頭が現代技術を駆使したよりロジカルな推理であったりとか、もう少しシリアスな内容だったら物語に深みが出て良かったのではないかと思わなくもない。
この物語には、ロートルと若手の探偵という、いくらでも物語を膨らますことができる設定があるにも関わらず、それらの要素が活かされていないどころか辻褄が合わなかったり、突然口調が変わったりするもんだから誰が誰に話しているのか分かり難くなったりするしで、残念な部分が目立ってしまった。
とは言え、読みやすい文章なので、ついつい最後まで読み込んでしまう。そんな小説として一番大切な魅力はあるのではないかと思う。
もっと暗めの本格的な推理小説を期待したい。

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