
Tairaオススメ度:★★★★★
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ブラック企業にこき使われて心身共に衰弱した隆は、無意識に線路に飛び込もうしたところを「ヤマモト」と名乗る男に助けられた。
同級生を自称する彼に心を開き、何かと助けてもらう隆だが、本物の同級生は海外滞在中ということがわかる。
なぜ赤の他人をここまで?
気になった隆は、彼の名前で個人情報をネット検索するが、出てきたのは、三年前に激務で自殺した男のニュースだった―。
スカっとできて最後は泣ける、第21回電撃小説大賞“メディアワークス文庫賞”受賞作。
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人は何のために働くのだろうか。
人生の楽しみとは一体なんだろうか。
そんなことばかりを考える日々を過ごしていたとき、この本に出会った。
仕事は簡単に辞められないよという主人公に対し、じゃあ何だったら簡単なの?と、死ぬことの方が簡単なの?問いかけるヤマモト。
心が疲れているとき、そんな判断さえもできなくなってしまうということを僕も実感として知っている。
例えば、今の仕事を辞めて、次の仕事を始めたとして、その仕事でもきっと辛いことがあるだろうと、もしかすると今の仕事の方がまだマシだったと思うようなことがあったらどうしようかと、そもそも僕にとって面白い仕事って何だろうかと。それだったら今の仕事にしがみつくしかないんじゃないかと。
僕自身、毎日そんなことばかりを考えている。
だけど、この本を読んで、僕は決して一人じゃないってことを、疲れた心だとつい忘れてしまいそうなことを、しっかりと思い出させてもらえた。
僕ももっとしっかり自分の人生を考えてみようと思う。
とても素敵な物語だ。
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