燻り (角川文庫)
黒川 博行
KADOKAWA
2016-09-22



Tairaオススメ度:★★★☆☆

----------
9組の悪党たちの末路は――。
『破門』の直木賞作家による犯罪小説集。
「ええな、抜け駆けと裏切りはなしやぞ」便利屋を生業とする長尾のもとに、ある社長令嬢の不倫現場を隠し撮りしたビデオが持ち込まれた。
旧知の総会屋と手を組み、長尾は一獲千金をもくろむが――(「地を払う」)。
拳銃を運ぶチンピラ、盗品を売りさばく骨董屋、パチンコ店を強請る2人組。
関西の裏社会でくすぶり続ける男たちが、9つの事件を巻き起こす。
哀しくも愛すべき悪党たちを直木賞作家が描いた、出色の犯罪小説集。
----------

長編好きの僕としてはやや物足りなさを感じるところもあったけど、面白い小説だった。

世の中の苦々しい部分を垣間見る物語の数々だけど、罪を犯した人々の閉塞的な結末とその虚しさに、スッキリしたようなしないような、そんな複雑な読後感を覚えた。

短編はその後の物語を読者が想像するところに楽しみがあるかと思うけど、やっぱり僕は長編をガッツリ読む方が好み。