怒り(上) (中公文庫)
吉田 修一
中央公論新社
2016-01-21



怒り(下) (中公文庫)
吉田 修一
中央公論新社
2016-01-21



Tairaオススメ度:★★★★★

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若い夫婦が自宅で惨殺され、現場には「怒」という血文字が残されていた。
犯人は山神一也、二十七歳と判明するが、その行方は杳として知れず捜査は難航していた。
そして事件から一年後の夏―。
房総の港町で働く槇洋平・愛子親子、大手企業に勤めるゲイの藤田優馬、沖縄の離島で母と暮らす小宮山泉の前に、身元不詳の三人の男が現れた。

山神一也は整形手術を受け逃亡している、と警察は発表した。
洋平は一緒に働く田代が偽名だと知り、優馬は同居を始めた直人が女といるところを目撃し、泉は気に掛けていた田中が住む無人島であるものを見てしまう。
日常をともに過ごす相手に対し芽生える疑い。
三人のなかに、山神はいるのか?犯人を追う刑事が見た衝撃の結末とは!
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だいぶ前に購入したものの、なかなか読むことができなかったこの本を、出張が多くなるこの時期を利用して飛行機の中で一気に読むことができた。

とても面白い小説だった。

目の前に現れた人は犯人なのか?
そうではないと信じたい気持ちと、もしかするとという気持ち、その葛藤。

辛く苦しいけれど、そういう状況が現実に起こった時、僕自身もきっとこういう葛藤を抱くだろうなと深く感じた。

いくつか腑に落ちないというか、投げっぱなしになっている物語があるように思うけど、読後感としては大満足の内容だった。

映画化もされているので、今度機会があれば観てみたいと思う。