
そして粛清の扉を
現代の若者の悪逆の数々が渦巻くとある高校の一クラス、その悪逆の数々を一人の女教師がより凶悪な暴力で粛清していく。という正にバイオレンスな内容の一冊。
「バトル・ロワイアル」が大人達からの一方的で強制的な暴力であったのに対し、この本は、子供達の残虐極まりない悪行に対しての報復的な暴力が描かれている。しかも「バトル・ロワイアル」の根底には常に「愛」がテーマに描かれていたように思えるが、この本は、被害者=弱者という視点に限定した「目には目を歯には歯を」的な復讐が描かれている。
「復讐は必ず過剰になり、復讐者は相手を徹底的に滅ぼそうとする。」というくだりが別の本に書かれていたが、正にそのとおりの内容がこの本には描かれている。
内容は、現実を少し離れ過ぎている感はあるが、この本は当初映画のシナリオとして物語を考えたとあるように、視覚的に分かりやすく臨場感溢れる場面の数々と展開のスピード感に、あっという間に物語に引き込まれてしまった。実際にこの本は映画化されてもとても面白い内容になるのではないかと思う。
ただ欲を言えば、いろいろな伏線が張られているように思われるので、後半がちょっと物足りなくも感じた。
読み終えて、この本で行われている冷酷で残虐な悪行の数々が、誇張されたもので、現実にはあり得ない行為であることを心から願う。
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