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Tairaオススメ度:★★★★☆
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博徒たちの間に戦後の闇が残る昭和57年の広島呉原。
愚連隊「呉寅会」を率いる沖虎彦は、ヤクザも恐れぬ圧倒的な暴力とそのカリスマ性で勢力を拡大していた。
広島北署二課暴力団係の刑事・大上章吾は、沖と呉原最大の暴力団・五十子会との抗争の匂いを嗅ぎ取り、沖を食い止めようと奔走する。
時は移り平成16年、懲役刑を受けて出所した沖がふたたび広島で動き出した。
だがすでに暴対法が施行されて久しく、シノギもままならなくなっていた。
焦燥感に駆られるように沖が暴走を始めた矢先、かつて大上の薫陶を受けた呉原東署の刑事・日岡秀一が沖に接近する…。
不滅の警察小説シリーズ、令和でついに完結!
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以前読んだ「孤狼の血」が面白かったので、その続編にあたるこの本を読んでみた。

実のところ「凶犬の眼」という作品が2作目として別にあり、この「暴虎の牙」は完結編にあたるとのこと。

ただ、それぞれの作品で物語は完結しているので、全く問題なく読み進めることができた。

そして感想はと言うと、とても面白かった。

孤狼の血ほどの暑苦しさは感じなかったけれど、ハードボイルドな雰囲気がより濃縮されたような、そんな印象を受けた。

昭和と平成、それぞれの時代特有のギラギラとした高揚感や重く沈んだ閉塞感と、物語の展開がとてもよく合っているように思う。

暴力の行き着く先に何があるのか、このシリーズはその一つの答えなんだろうと思う。