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Tairaオススメ度:★★★★☆
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妻が妊娠し、幸せいっぱいの日々を送るサラリーマン・田原秀樹は、ある日、知り合いの娘の結婚式に参列することに。
しかし、新婦の佐川知紗は思わず二度見してしまうほど器量の悪い娘だった。
式の最中、野崎という男性が知紗にある画像を見せたことから、彼女は錯乱し、鼻水を垂らしながら秀樹に縋りつき「お父さん」と呼ぶ。
こんな娘は嫌だ――
汗がどっと噴き出た瞬間……。
映画「来る」へのアンサー的短編!
――「鏡」

真琴と野崎の結婚式。
姉の比嘉琴子は祝いに駆け付けるが、誤って真琴に怪我をさせてしまう。
猛省する琴子は、真琴に代わり、彼女が請け負っていた事件「見えない通り魔」の調査に乗り出す。
夜な夜な通行人を襲って引き摺り回し、建造物を破壊する巨大な化け物の正体とは……!?
論理的にして大胆な霊媒師・比嘉姉妹が活躍する、書き下ろし表題作!
――「ぜんしゅの跫」
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澤村伊智の描く、おどろおどろしくも突拍子もない世界観ではない、ぎりぎりのリアリティを保っている物語は、現実にも起こり得るのではないかと、そんなことを思いながら読めるので、しっかり恐怖を堪能できるし、夜中に目が覚めて少し怖くなったりするしで、ホラー小説として完璧ではないだろうかと僕は思う。

しかも、人間ではない物の怪を率直に登場させるので、それがとても新鮮だし、人智を超えた禍々しさに圧倒される恐怖を感じることができて、本当に面白く読み進めることができる。

今回の作品は、いくつかの短編からなっているけれど、中でも表題作は圧倒的な迫力をもって描かれていて、これぞ澤村伊智の作品だと、一気に引き込まれる物語だった。

欲を言えば、これを長編で読みたかったなと、心からそう思う物語だった。

読み終えるのが惜しくなる、もっと読んでいたい。比嘉姉妹シリーズの作品は、毎回そんなことを思いながら読んでいる。