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サイレンス (文春文庫)
理香子, 秋吉
文藝春秋
2020-01-04



Tairaオススメ度:★★★☆☆
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深雪は婚約者の俊亜貴を連れ故郷の雪之島を訪れる。
結婚をしてありふれた幸せを手にいれるはずだった。
ところが祝宴の席で深雪は思いもよらないことを島民たちから知らされ、状況は一変する。
やがて俊亜貴は行方不明に…。
この島、何かがおかしい―。
人間の奥底にある執着心と狂気を描いた傑作サスペンス。
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登場人物たちに、若干のステレオタイプな印象を受けつつも、それでいてステレオタイプな雰囲気も徹底されていないような、そんな作品だった。

閉鎖的な島という設定なので、禍々しい土着的な宗教があるのかといえばそうではないし、かといって無意味に都会の人を毛嫌いしてみたり。

たしかに主人公の彼氏は最低の人間だと思うし、そういう人間に何らかの報復がなされることは気持ちがスッキリするけれど、閉鎖的な島という設定であれば、島民全員が報復に加担しているとか、もっと理不尽な風習があるとか、そういう設定があっても良かったのではないかと思わなくもない。

とは言え、秋吉理香子の描く物語の雰囲気に一気に引き込まれる、読みやすい作品だった。