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絶対正義
秋吉 理香子
幻冬舎
2016-11-10



Tairaオススメ度:★★★★★
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範子はいつでも礼儀正しく、一つの間違いも犯さず、また決して罪を許さない。
なにより正義を愛していた。
和樹は、痴漢から助けてもらった。
由美子は、働かない夫を説得してもらった。
理穂は、無実の罪を証明してもらった。
麗香は、ピンチを救われチャンスを手にした。
彼女たちは大いに感謝し、そして、のちに範子を殺した。
しかし、死んだはずの範子からパーティへの招待状が届いた。
そこで、四人が見たものとは―?
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とても面白い作品だった。

正義をどこまでも突き詰めたとき、果たしてそれは正義なのか、そうでないのか。

正義を積み重ねると、より純粋で高潔な正義であるはずなのに、円滑な人間関係に不可欠な忖度や必要悪と正義を天秤にかけたとき、どちらが正しいことなのか。

もちろん、この物語に登場する範子のように、必要以上に正義を貫き通すことは社会生活上必要ないことなのかもしれないけれど、それでも本来それは正義であって決して悪ではない。そんな正論と曲論の紙一重さを心から感じた興味深い作品だった。

面白かった。