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蓋のある密閉状態の箱を用意し、この中に1匹の猫を入れる。
箱の中には他に、少量の放射性物質等と、それに反応する青酸ガスの発生装置がある。
放射性物質は1時間の内に原子崩壊する可能性が50%であり、もしも崩壊した場合は青酸ガスが発生して猫は死ぬ。
逆に原子崩壊しなければ毒ガスは発生せず、猫が死ぬことはない。
1時間後、果たして箱の中の猫は生きているか死んでいるか。

この実験において観測者が確認した結果、実際に猫が生きているか死んでいるかは問題ではない。
普通に考えれば、観測者が蓋を開けて箱の中身を確認する前に、既に猫の生死は決定している。
観測者は既に起こった事象を確認するに過ぎない。
ところが確率解釈が正しいとすれば、観測者が箱を開けるまで、猫の生死は決定していないのである。

原子がいつ崩壊するかは量子力学的には確率的にしか説明できない。
観測者が見るまで、箱の中は原子崩壊している事象としていない事象が重なり合って存在している。
あくまで観測者が確認した瞬間に事象が収束し、結果が定まる。
つまり、観測者が箱の中身を確認するまで、猫の生死は決まっておらず(非決定)、観測者が蓋を開けて中を確認した時に初めて事象が収束し、猫の生死が決まるということになる。
言い換えれば箱を開けるまでは、生きている猫と死んだ猫の状態が重ね合って存在しているという意味になる。
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1935年にオーストリアの物理学者エルヴィン・シュレーディンガーという学者が、量子力学のパラドックスを指摘するための思考実験として、猫の生死というマクロの事象に展開することで確率解釈が誤っているということを証明しようと述べたのが上記の解釈とのこと。

当然、観測者が蓋を開けなくても箱の中の猫の生死は決定されていると思うけれど、量子の世界では、粒子は観測されていない時と観測されている時とでは状態が変わるという結果が示されているとのことで、現代の科学では、観測者が観測するまで生きている猫と死んだ猫が重なり合っていないと証明することはできないとのこと。

今読んでいる本にこの話が出てきて、とても興味深い内容だったのでメモしておくことに。

あり得ないとは言い切れない話だよなと思ってみたりみなかったり。