
Tairaオススメ度:★★★★★
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連合赤軍が浅間山荘事件を起こし、日本国中を震撼させた1972年冬―当時学生だった矢野布美子は、大学助教授の片瀬信太郎と妻の雛子の優雅で奔放な魅力に心奪われ、彼ら二人との倒錯した恋にのめりこんでいた。
だが幸福な三角関係も崩壊する時が訪れ、嫉妬と激情の果てに恐るべき事件が…。
名作『無伴奏』から五年―官能とデカダン、乾いた虚無感が全篇に漂う、著者入魂のバロック的犯罪サスペンス。
直木賞受賞作。
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僕は、恋愛小説はほとんど読まないけれど、この小説はとても気になっていたので、思い切って読んでみることに。
そして間違いなく傑作です。
素敵だと思う異性に素敵だと伝え、その気持ちを素直に受け入れる。
文字にすると当たり前のようなことだけど、現実の社会ではそのことはとても難しくて、ときには倫理的に問題があると強烈に非難されてしまったり。
決して背徳を肯定するわけではないし、そのことが引き起こす問題ということも理解できなくはない。
だけど、この本を読み、登場人物たちに憧れを抱く自分がいることも否定できなくて。
ただ、この本のラストの展開に、そういうことだったのかと納得すると同時に、とても哀しい気持ちになったりもした。
いずれにせよ、とても美しい物語だと僕は思った。
この本に出会えてとても良かったと心から思う。
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