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ミステリとは、真実をめぐる物語である-それ以上のものでもないし、それ以下のものでもない。
確実なことなど何もないこの世界で、きっちりとすべてのiに点が打たれ、すべてのtに横棒の入っている本の最後のページにたどりつくのは、誰にとっても心の満たされる瞬間ではないだろうか。
わたしたちの周囲には、つねに曖昧さ、どちらとも断じきれない危うさがあふれている。
真実をはっきり見きわめようと努力するうち、人生の半分はすぎていってしまうのだ。
ようやくすべてが腑に落ちたと思えるのは、おそらくはもう死の床についているときだろう。
そんな満ち足りた喜びを、ほとんどすべてのミステリは読者に与えてくれるのだ。
それこそが存在意義といってもいい。
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僕はミステリー小説が大好きで、数多くのミステリー小説を読んできた。
だけど、なぜミステリー小説が好きなのかということをこれまで深く考えたことはなかった。
今読んでいる「カササギ殺人事件」に上記の文章が記されていた。
なるほどなと、とても感銘を受けたし、ミステリー小説の素晴らしさを改めて実感した。
ミステリー小説を愛する全ての人に感動を与える素敵な考察だと思う。
この文章に出会えて本当に良かった。
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