
Tairaオススメ度:★★★★☆
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神紅大学ミステリ愛好会の葉村譲と会長の明智恭介は、曰くつきの映画研究部の夏合宿に加わるため、同じ大学の探偵少女、剣崎比留子と共にペンション紫湛荘を訪ねた。
合宿一日目の夜、映研のメンバーたちは肝試しに出かけるが、想像しえなかった事態に遭遇し紫湛荘に立て籠もりを余儀なくされる。
緊張と混乱の一夜が明け――。
部員の一人が密室で惨殺死体となって発見される。
しかしそれは連続殺人の幕開けに過ぎなかった……!!
究極の絶望の淵で、葉村は、明智は、そして比留子は、生き残り謎を解き明かせるか?!
奇想と本格ミステリが見事に融合する第27回鮎川哲也賞受賞作!
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まさかの展開にとても驚いた。
ゾンビというパニックホラーの要素と、クローズド・サークルの直球なミステリーの要素。この二つの要素が絶妙に、というか力技で成立させたという点だけでも読むに値する小説だと思う。
もちろん、やや強引に感じる展開や、登場人物たちに都合が良い展開があったりはするけれど、それよりも早く続きを読み進めたいという気持ちになるくらい、これまでにない斬新な設定に引き込まれてしまった。
強いて言えば、魅力溢れる登場人物の関係性が唐突に強く結びついたり突然解消されたりするところが、読後にわだかまりを残してしまうところかなと。
それでも、パニックホラーとミステリーをきちんと関連させながら物語として成立させているところは、本当に凄いと感じた。
面白い小説でした。
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