Tairaオススメ度:★★★★☆

----------
本格ミステリ・ベスト10(2016年国内・原書房)第1位
ミステリが読みたい!(2016年版国内篇・早川書房)第3位
週刊文春ミステリーベスト10(週刊文春2015年12月10日号国内部門)第4位
このミステリーがすごい!(2016年版国内編・宝島社)第6位

連続殺人に挑むのはミステリー読みのプロたち――。
15ある解決案のどれが真相か?

嵐で孤立した館で起きた殺人事件!
国民的娯楽番組「推理闘技場(ミステリー・アリーナ)」に
出演したミステリー読みのプロたちが、早い者勝ちで謎解きに挑む。
誰もが怪しく思える伏線に満ちた難題の答えはなんと15通り!
そして番組の裏でも不穏な動きが……。
多重解決の究極 にしてミステリー・ランキングを席巻した怒濤の傑作!!
----------

僕は、ミステリー小説を読むときは、一つも不可解な点は見逃さないぞってな感じで注意深く読んでいるつもりだけれど、この小説に登場するミステリー愛好家たちのロジカルかつ一切の矛盾のない謎解きに、驚きと感動の連続で、僕のミステリーに対する熱意と読み解きはまだまだだなと、とても良い刺激になった。そんな読後感です。

先ず、嵐で孤立した館で起きた殺人事件の謎を解く、という話だけでも面白いのに、その話をミステリー愛好家たちが俯瞰的にあらゆる角度から謎解きをしていくという、二重にも三重にもワクワクする構成で、ミステリー小説の面白さが十二分に詰まった内容でした。

強いて言えば、物語の最後が若干雑になったような印象があって、もう一捻り謎解きがあれば嬉しかったなと、そんな無責任なことを思ってみたり。

それでも、通常のミステリー小説であればクライマックスに一つしか示されない謎解きが、冒頭から最後まで怒涛のごとく味わえる贅沢は、この小説を措いて他にはないので、ミステリー好きであれば是非とも読んでほしい小説であることに間違いはありません。

面白い小説でした。