果てしなき渇き
深町 秋生
宝島社
2005-01-27



Tairaオススメ度:★★★★☆

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私の青春は暗かった。
『果てしなき渇き』では、そんな過去を嫌々思い出しながら書いた。
これは孤独と憎悪に耐えかね、疾走する人間達の悲しみを描いた作品である。
友愛や和気を著しく欠いているために、激しい拒否感を抱く方もいるだろう。
けれど同時にこの小説の世界に共感を覚える方もきっとどこかにいてくれるはずだとも思う。
なぜなら慈愛に満ちた世界を疎み、燦々と輝く太陽に向かって唾を吐きたいと願う人間は、私だけではないはずだと、固く信じているからだ。

元刑事・藤島秋弘のもとに、失踪した娘の加奈子を捜してほしいと、別れた妻から連絡があった。
家族とよりを戻したいと願う藤島は一人、捜査に乗り出す。
一方、三年前。中学生である瀬岡尚人は手酷いイジメにあっていた。
自殺さえも考えていたところを藤島加奈子に救われる。彼は彼女に恋をし、以前、彼女がつきあっていた緒方のようになりたいと願うようになるが…。
二つの物語が交錯し、探るほどに深くなる加奈子の謎、次第に浮き彫りになる藤島の心の闇。
用意された驚愕の結末とは―?
『このミステリーがすごい!』大賞第3回受賞作。
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以前読んだこの本をもう一度読み返してみた。

読み返した理由は、この本の映画版の「渇き」を観たから。

映画を観た感想は「つまらなかった。」の一言。

中途半端な暴力描写と、本編ではなくいつまでも予告編を見せられているような大味で過剰な編集等々。それでいて上映時間が無駄に長くて、映画に飽きた僕は途中で何度も帰りたくなった。

僕にとってはそれくらい面白くないと感じた映画。

という訳で、改めて本を読み返し、物語自体は果たして面白かったのかどうかを確かめたくなった。

改めて読んだ感想は「面白かった」。

初めて読んだときのような衝撃はなかったけれど、圧倒的な迫力で迫りくる物語の過剰な展開に、やはり僕は引き込まれてしまった。というよりも飲み込まれてしまったと言った方が正確か。

映画では、この迫力とスピード感を重視しようとした結果、あのような忙しない形になったのだろうなと、少しだけ納得した。

そういう意味では、映画の、詰め込むだけ詰め込み、溢れているにも関わらずそれでも無理矢理詰め込んだというような印象を強烈に受けた僕は、映画監督の意図したとおりの反応を受けているのかもしれないなと思い、少し悔しくもある。

いずれにせよ印象深い物語であることは確か。