私の男私の男
著者:桜庭 一樹
文藝春秋(2007-10-30)
販売元:Amazon.co.jp
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Tairaオススメ度:★★★★★

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お父さんからは夜の匂いがした。
狂気にみちた愛のもとでは善と悪の境もない。
暗い北の海から逃げてきた父と娘の過去を、美しく力強い筆致で抉りだす著者の真骨頂『私の男』。

優雅だが、どこかうらぶれた男、一見、おとなしそうな若い女、アパートの押入れから漂う、罪の異臭。
家族の愛とはなにか、超えてはならない、人と獣の境はどこにあるのか?
この世の裂け目に堕ちた父娘の過去に遡る―。
黒い冬の海と親子の禁忌を圧倒的な筆力で描ききった著者の真骨頂。
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面白い小説でした。

インモラルな内容ながら、もの凄く引き寄せられる物語でした。

この物語には、父と娘のタブーな愛が静かに淡々とグロテスクに描かれています。
それが良いか悪いかということではなく、そこにある純粋な愛の形に、僕は憧れすら感じました。

僕のこれからの生涯において、女性とこういう純粋かつ業深い愛の形を経験することがあるだろうかと考えると疑問であり、そう思うと、やはり正直な気持ちは羨望であり憧れであります。

最近、僕は人と人との繋がりということについて、直截的に言えば人を好きになるということについて真剣に考えることがあったので、そのタイミングとも合致したということもあり、とても感傷的に読み込んでしまいました。

僕自身はとても面白い小説だと思いましたが、賛否両論あるだろうなってことについては理解もできます。

ただ、この内容は物語であるからこそ成立する話であって、これを現実という尺度でどうこう言うことは無粋なことだと僕は思います。

今回は星5つでした。