トギオトギオ
著者:太朗想史郎
販売元:宝島社
発売日:2010-01-08
おすすめ度:3.5
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Tairaオススメ度:★

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第8回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作。
選考委員を驚愕させた衝撃の問題作!
「ブレードランナー」の独創的近未来、「AKIRA」の疾走感、「時計じかけのオレンジ」の暴力。
21世紀不良少年はもうひとつのTOKIOを漂流する。

捨て子の「白」を拾ったがために、大きく狂いはじめる主人公の人生。
家族は村八分に遭い、主人公はクラスメイトから生々しく執拗ないじめを受ける。
村を出た主人公は港町に流れ、やがて大都会・東暁(とうぎょう)を目指すことに。
生き抜くために悪事に手を染め、殺伐とした東暁で地べたを這いつくばって生きる主人公が唯一気にかけていたのは、村に置いてきた白のことだった――。

(最終選考委員コメント)
「冒頭の一行から尋常でない。異世界SFの傑作」 大森望(翻訳家・評論家)
「数奇な遍歴をたどる運命は21世紀少年たちの未来像かも」 香山二三郎(コラムニスト)
「一言で言って、ものが違う、と感じさせる異彩ぶり」 茶木則雄(書評家)
「本年度『このミステリーの枠を超えてすごい!』大賞はこれ」 吉野仁(書評家)
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上記の紹介文を読むと、必然的に期待値は上がる訳でして、しかももの凄く。

そんな状態でこの本を読んだもんだから、この物語の中途半端な舞台設定や人物設定、理解し難い世界観と魅力に乏しいテーマ性等々に、終始がっかりしっぱなしの僕でした。

物語冒頭では、退廃的な近未来における小さな村を舞台に、内向的で荒んだ村人たちの鬱屈した日常が、どこか危うさを孕みつつ描かれていて、とても面白く読み進めることができましたが、主人公が村を飛び出したところから話にとりとめがなくなり、緊張感を持って描かれていた世界観も、東暁という舞台が具体的に描かれたところからその魅力を失い、物語自体のドラマ性や展開もだんだんと意味不明になり、終盤は面白さは全く感じることなく惰性で読み進めたという感じでした。

また、この物語では"白"という人物がキーパーソン的に描かれていますが、これも僕には理解不能で、正直その存在自体が必要であったかどうかさえ疑問に感じてしまいました。

と言っても、この本は第8回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作なので、僕の読解力が低いということなのかも知れません。

今回は星1つでした。