
著者:水田 美意子
販売元:宝島社
発売日:2006-02-20
おすすめ度:

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Tairaオススメ度:★
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第4回 2006年『このミステリーがすごい!』大賞 特別奨励賞受賞。
奇跡のデビュー作 登場。
日本から1500キロ離れた、東硫黄島。
島の外輪火山が噴火し、住民は東京に強制移住させられ、現在は、観測所を守っている老人がひとり住むだけの孤島である。
そんな島で同窓会が開かれることになり、4年ぶりに東硫黄高校同窓生が集まった。
出席者はクラスメイト36人中、不登校だった1人を除いた35人。
和やかなムードで進んでいた同窓会は、突如現れた殺人ピエロにより恐怖の孤島と化す。
ゲーム的な趣向で、次々と同窓生たちを惨殺し始める殺人ピエロの正体は?
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僕のオススメ度は星1つとさせていただいた訳ですが、この小説のポイントは、その内容ではなくて12歳が書いたミステリーってところです。
なので、内容だけで言えば決して面白い小説とは言えませんが、12歳が書いたと考えると、所々の稚拙な文章や物語の大雑把な展開等々も、全てが大胆かつ斬新に感じられ、それなりに面白く読み進めることができました。
また、物語の展開や文体が、奇をてらっているのかいないのか、どんでん返しがあるのかないのか、伏線なのか意味のない文章なのか等々、いわゆる一般的なミステリー小説であれば定石とされる文章の置き方の型に全く嵌っていなくて、読んでいる方は、今読んでいる文章が後々重要になるのかどうかを知る由もなく、一瞬たりとも油断できないというか何と言うか。
もしこれをあえてやっているのであれば、今後もの凄いミステリー作家になること間違いなしだと思います。
物語は、なぜか孤島で同窓会を開くことになった面々が、いじめられっ子だった同級生扮する殺人ピエロになぜかどんどん殺されていく、と思わせて、殺人ピエロは果たして本当にいじめられっ子のあいつなのかという要素も加えつつ、殺人ピエロの動機や犯行の時間軸は一切無視し、かつ同級生がどんどん殺されていくにも関わらず、あっけらかんとした登場人物達の行動や台詞がトリッキーな、ある意味、殺伐とした現代社会への警鐘なのかとさえ思わされるスリリングな内容です。
そういう意味では一読の価値ある本だと思います。
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