姉飼姉飼
著者:遠藤 徹
販売元:角川書店
発売日:2003-11
おすすめ度:3.5
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Tairaオススメ度:★★

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選考委員への挑戦か!?
挑発的作風、注目の第10回日本ホラー大賞受賞作!

脂祭の夜、まだ小学生だった僕は縁日ではじめて姉を見る。
姉は皆、体を串刺しにされ、髪と爪を振り回しながら、凶暴にうめき叫んでいた……。
諧謔的表現と不可思議なフリークス世界、かつてないホラー小説誕生!
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今回手に取ったのは第10回日本ホラー大賞受賞作のこの本です。

僕は、この賞とあまり相性が合わないようなので、この本をもって日本ホラー大賞受賞作の本を手に取るのは終わりにしようと思っています。

この本は、表題作を含め、「キューブ・ガール」、「ジャングル・ジム」、「妹の島」の計4作が収められています。

どの作品をとっても、かなり中途半端感が否めないと僕は感じました。

気持ち悪い表現を書き綴ることがホラーなのであれば、確かにホラー小説なんだろうとは思いますが、読んでいてゾクゾクするような心理的な怖さは微塵もなく、かと言ってミステリー的な緻密な起承転結もなく、僕の求める面白さとは全く違う類の小説だと思いました。

最初、この本の装丁の悪趣味さに気分の悪さを覚えつつも、一体どんな内容なんだろうかと期待もありましたが、装丁の悪趣味さに比例する悪趣味な内容にただただがっかりでした。

全編を通じて感じた点が、恐怖の対象として描いている何かを、人間として扱いたいのか不可思議な存在として扱いたいのかが非常にぼんやりしているように思います。
「姉飼」における串刺しにされた姉、「ジャングル・ジム」のジャングル・ジム、「妹の島」の父親、等々、今一つこれらの存在の位置付けが曖昧模糊としていて、各物語のパンチの弱さの原因になっているのではないかと思います。

また、姉飼や妹の島では、中途半端なミステリー要素も加わってしまっているので、ミステリー要素に不可欠なリアリティさと相反する姉や父親の曖昧な存在がそれぞれの面白さを台無しにしてしまっているように思います。

各作品の中では、僕は「キューブ・ガール」が比較的面白く読めました。

気持ち悪い単語に頼ることなく、余計なミステリー要素も加わることなく、正当なホラー短編として成立しているのではないかと思います。
物語のラストは謎をポンと放り投げたところで終わっていますが、これはこれで読者に不思議な読後感を与える意味を持っていて、良くできているのではないかと感じました。

今回は星2つです。