フィッシュストーリーフィッシュストーリー
著者:伊坂 幸太郎
販売元:新潮社
発売日:2007-01-30
おすすめ度:3.5
クチコミを見る


Tairaオススメ度:★★★★

----------
「なあ、この曲はちゃんと誰かに届いてるのかよ?」
売れないロックバンドが最後のレコーディングで叫んだ声が時空を越えて奇蹟を起こす。
デビュー第一短編から最新書き下ろし(150枚!)まで、小気味よい会話と伏線の妙が冴える伊坂ワールドの饗宴。
----------

久しぶりに伊坂幸太郎の本を手に取ってみました。

この本は、以前、千夜千曲で紹介した"第二百六十夜(260)「FISH STORY - 逆鱗」"の原作となっています。

伊坂幸太郎の作品は、どの作品をとっても、登場人物が常にスタイリッシュかつユーモアを持って活き活きと描かれていて、いつ読んでも、僕自身もこういう人になりたいなって思わされます。

この本は、表題作を含め、「動物園のエンジン」、「サクリファイス」、「ポテチ」という4つの短編から成っています。
その中でも、僕が一番好んだのがやはり「フィッシュストーリー」でした。

この物語は、フィッシュストーリーという詩を歌った名も知れないバンドのレコードが、時を超え、ある人の車の中で鳴り響き、その曲の変わった構成がきっかけで、その人の運命に大きな転機を与え、そしてまた時を超え・・・。
こうしてフィッシュストーリーという一つの曲を通した物語が、ドラマチックかつロマンチックでいながら、あくまでも大げさになりすぎることない軽いタッチでテンポ良く描かれていきます。

短編なので、コロコロコロコロと心地良く話が進んでいき、しかも登場人物の心象があまり描かれていないので、読後感がとても爽快です。

物語の結末は、それなりに壮大なスケールを持っていますが、それをあまり意識させることなくサラリと読ませるところが、さすが伊坂幸太郎って感じですね。

とても面白い物語でした。

この本全体としての感想としては「サクリファイス」がいまいち面白味に欠けるように感じたので、今回は星4つです。

今度は、このフィッシュストーリーの映画版も見てみようと思います。