女王国の城 (創元クライム・クラブ)女王国の城 (創元クライム・クラブ)
著者:有栖川 有栖
販売元:東京創元社
発売日:2007-09
おすすめ度:4.0
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Tairaオススメ度:★★★★

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舞台は、急成長の途上にある宗教団体“人類協会”の聖地、神倉。
大学に顔を見せない部長を案じて、推理小説研究会の後輩アリスは江神二郎の下宿を訪れる。
室内には神倉へ向かったと思しき痕跡。
様子を見に行こうと考えたアリスにマリアが、そして就職活動中の望月、織田も同調、四人はレンタカーを駆って木曾路をひた走る。
“城”と呼ばれる総本部で江神の安否は確認したものの、思いがけず殺人事件に直面。
外界との接触を阻まれ囚われの身となった一行は決死の脱出と真相究明を試みるが、その間にも事件は続発し…。
江神シリーズ待望の書き下ろし第四長編。
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久しぶりに本格ミステリが読みたくて手に取ったのがこの本でした。

たっぷりと心ゆくまで本格的なミステリーの世界を堪能させていただきました。
それもそのはずの、もの凄い文章量です。
総ページ数が507ページで、しかも全ページが2段組みで収まっているので、実際には1000ページを超える文章量です。

読み終えるまでには結構な時間を要しましたが、読み終えた後の達成感と満足感は言わずもがなです。

物語の内容はと言いますと、宗教団体の総本部で起こった殺人事件に端を発します。
宗教団体の関係者は警察の手を借りず犯人は自分達の手で見つけるという、少々現実的でない提案を無理矢理敢行します。
そこからいろいろな事件が起こりつつも、大学の推理小説研究会の部長である江上氏が淡々と複数の謎をたぐり寄せ、結果、犯人を見つけ出すという、ミステリー小説お決まりの展開が程よいテンポ感で描かれています。

こう書くとやや面白味に欠けているように感じますが、実際には、さすがの有栖川有栖作というだけあって、ミステリー小説のツボを確実に押さえつつも決してありきたりな陳腐な展開になることはない物語の進め方はさすがと感じました。
事件とそれに対する謎解きの繰り返しの頻度とその間隔、ところどころで読者の頭を整理してくれる登場人物達の推理合戦、本編とはさほど関係ないけれど物語に深みをもたらしてくれる雑学的な解説等々、最後まで飽きさせない工夫がされているように思います。

ただ、これだけの文章量をもって、この結末はどうかと思ったのも事実です。
いろいろな謎が収束され、最後にどんな結末が待っているのかと、かなり期待させておいてのこの結末は物足りなさを通り越してがっかりさせられました。

犯人の動機の弱さ、宗教団体を悪く描きたいのか良く描きたいのか中途半端な結末、過去の事件と現在の事件の繋がりの薄さ、江上氏が犯人を導きだした根拠の地味さ等々、文章量と結末が比例していないように思います。

それでも、久々の本格ミステリはやはり面白かったです。
僕はミステリー小説が好きなんだと再認識しました。

今回は星4つです。