沈底魚沈底魚
著者:曽根 圭介
販売元:講談社
発売日:2007-08-10
おすすめ度:3.0
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Tairaオススメ度:★★

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大物の沈底魚が、日本に潜っている。
亡命中国外交官による衝撃情報。流出した国家機密。
「眠れるスパイ」は実在するのか。
公安刑事たちの極秘捜査が始まった!乱歩賞史上、もっともスリリングな公安ミステリー、堂々登場!
第53回江戸川乱歩賞受賞作。
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前回読んだ本がスパイミステリー小説だったため、もう少しこのジャンルを読みたいなと思い手に取ったのがこの本でした。

感想は、今一つ盛り上がりに欠ける、少々中途半端感が否めない、消化不良な読後感でした。

その一番の要因は、リアリティとフィクションの中途半端な物語内容にあると思います。
方や専門的な用語をちりばめつつ警察組織や工作活動を描いているかと思えば、工作活動を捜査する人物が一匹狼的な立場であるとはいえ、あまりにも単独行動かつ独り善がりが過ぎていて、結果として物語の世界観全てに真実味が欠けてしまったように感じます。

また、主人公が、なぜ一匹狼的な立場にあるのか、なぜ他国の顔役と近しいのかの説明が全くなく、かと思えば、物語とは直接関係ないようなことが長々と解説されていたりと、文章のバランスが今一つ良くないのではないかとも思いました。
翳のある人物として描くのであれば、もう少し人物設定の肉付けが欲しかったと思います。

物語の展開も、作者のアイデアをこれでもかこれでもかと詰め込んだかのように、二転三転と変わっていきますが、その事が裏目となり、最後の方は話が転がりすぎて結局だれがスパイで誰が黒幕なのかが理解しにくくなっているように思います。

話自体は良くできた構成だと思うので、もう少し推敲することでもっともっと面白い小説になるのではないかと思います。

今回は星2つでした。