ジョーカー・ゲームジョーカー・ゲーム
著者:柳 広司
販売元:角川グループパブリッシング
発売日:2008-08-29
おすすめ度:4.0
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Tairaオススメ度:★★★★★

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結城中佐の発案で陸軍内に設立されたスパイ養成学校“D機関”。
「スパイとは“見えない存在”であること」「殺人及び自死は最悪の選択肢」。
これが、結城が訓練生に叩き込んだ戒律だった。
軍隊組織の信条を真っ向から否定する“D機関”の存在は、当然、猛反発を招いた。
だが、頭脳明晰、実行力でも群を抜く「魔王」―結城中佐は、魔術師の如き手さばきで諜報戦の成果を挙げ、陸軍内の敵をも出し抜いてゆく。
東京、横浜、上海、ロンドンで繰り広げられる最高にスタイリッシュなスパイ・ミステリー。
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上記のように"最高にスタイリッシュなスパイ・ミステリー"と書いてあると、カッコ良しなナイスガイがお洒落な洋服を身にまとに縦横無尽に駆け抜ける、そんな物語を想像してしまいがちですが、実際には極力目立たないよう質素かつ静かな男達による静かなスパイミステリー小説でした。

しかし、この無駄にエンターテイメント化されていない諜報活動こそが、本来の姿に近いのだろうと思うし、身体的な活動よりも頭脳的な情報収集の活動に焦点を絞った物語の内容は意外とリアリティがあり、とても面白く読み進めることができました。

また、この小説は5編の短編で構成されているのですが、それぞれの物語のタッチが推理小説であったりハードボイルドであったりと、その内容に合わせて微妙に変えられていて、しかも短編という文章量を最大限に活かした疾走感とテンポの良さがあわさって、短編を読んでいるのにも関わらず読書の満足感と読後の清涼感を十分に堪能することができました。

男性であれば、誰しもが憧れるであろうスパイという影のある生き方。
その生き方の光と影をサラッと描いたこの小説はスタイリッシュであることに間違いはないです。

とても面白い小説でした。