田村はまだか田村はまだか
著者:朝倉 かすみ
販売元:光文社
発売日:2008-02-21
おすすめ度:4.0
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Tairaオススメ度:★★★★

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深夜のバー。
小学校クラス会の三次会。
四十歳になる男女五人が友を待つ。
大雪で列車が遅れ、クラス会に間に合わなかった「田村」を待つ。
待ちながら各人の脳裏に浮かぶのは、過去に触れ合った印象深き人物たち。
今の自分がこうなったのは、誰の影響なのだろう―。
それにつけても田村はまだか?来いよ、田村。
人生にあきらめを覚え始めた世代のある一夜を、軽快な文体で描きながらも、ラストには怒涛の感動が待ち受ける傑作。
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面白い物語でした。

大がかりでドラマチックな展開こそありませんが、そこがよりリアリティを引き立てつつ物語に深みをもたらしているように思います。

物語の舞台となるバー「チャオ!」。
そこに集まったクラス会帰りの仲間5人。
お酒を飲みながら、それぞれの仲間がそれぞれの人生を舞台にした物語を淡々と語っていきます。

語られる物語は、ごくごくありふれたような話ではありますが、40歳という、青春を語るには年を取り過ぎ、かと言って人生に見切りをつけるには早すぎる年齢の絶妙な人生観が滲み出ているように思え、読んでいてどこか物悲しくなりつつも年をとるって悪くないなって僕としては思いました。

僕自身が40歳になった時、はたしてどういう人生を送っているのだろうか。
この物語のように少しだけドラマチックな人生を淡々と語れるようになれたらなと思いますね。

そして、僕自身も「Tairaはまだか」って友人に待たれるような人間になりたいと心から思います。

面白い小説でした。