サウス・バウンドサウス・バウンド
著者:奥田 英朗
販売元:角川書店
発売日:2005-06-30
おすすめ度:4.5
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Tairaオススメ度:★★★★

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小学校六年生になった長男の僕の名前は二郎。父の名前は一郎。
誰が聞いても「変わってる」と言う。
父が会社員だったことはない。物心ついたときからたいてい家にいる。父親とはそういうものだと思っていたら、小学生になって級友ができ、ほかの家はそうではないらしいことを知った。
父はどうやら国が嫌いらしい。むかし、過激派とかいうのをやっていて、税金なんか払わない、無理して学校に行く必要などないとかよく言っている。
家族でどこかの南の島に移住する計画を立てているようなのだが…。
型破りな父に翻弄される家族を、少年の視点から描いた、長編大傑作。
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ほんのりと優しい気分になれる。そんな小説でした。

元過激派の父と母という不思議な人物設定ですが、この両親の口から語られる言葉は、基本的には人として一番大切な道徳的な教えであり規律であり、皆が思っていても口や態度に出せないような疑問や理不尽さへの反抗であったりと、読んでいて清々しい気持ちになりました。

元過激派という人物設定にすることで、一見すると説教じみたり宗教的になりそうな倫理観がユーモラスかつ爽やかに描かれていて、僕自身もそれらの素敵な言葉等を素直に受け取ることができました。

また、物語後半に出てくる西表島の静かな自然やそこに住む朗らかで大らかな人々を見ていると、僕は何だか肩ひじ張って生活しているのかもしれないなって思い、この物語の父親や母親みたいに、もっと力を抜いて自然体でありたいなと心から願いました。

人としてただ真っ直ぐに生きてみる。
今の時代、簡単なようで難しい生き方だと思いますが、少なくとも心の中だけでもそうありたいとしっかりと思っていたいと思います。

良い本でした。