蛇にピアス蛇にピアス
著者:金原 ひとみ
販売元:集英社
発売日:2003-12
おすすめ度:3.0
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Tairaオススメ度:★★★

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ピアスの拡張にハマっていたルイは、「スプリットタン」という二つに分かれた舌を持つ男アマとの出会いをきっかけとして、舌にピアスを入れる。
暗い時代を生きる若者の受難と復活の物語。
第130回芥川賞受賞作。
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恒川光太郎の作品が、現実ではない世界観を淡々と押し付けがましく描かないことで現実以上の現実感をもたらしているのに対し、この「蛇にピアス」は、現実としてあり得るであろう世界観を上手く表現しきれていないように思えます。

ボディピアス、タトゥ、暴力、セックス、アルコール。
いわゆる廃退的な世界観を背景に、若者のうつろな生き方を表現したかったのだとは理解できますが、結局それが何についてのメタファーなのかが僕にはいまいち伝わりませんでした。
もしかすると、何にも示さないことそのもので現実の虚構性を伝えているのかも知れません。

この物語に描かれていることは廃退的ありながらも、ある意味、若者の偶像とも言えるのではないかと思います。
僕自身も20歳前後の頃は、健康的な生活よりもむしろ不健康的なライフスタイルに憧れていたこともあります。
その時期に僕が手に取った本は、村上龍の「限りなく透明に近いブルー」でした。

今20歳位の人達がこの本を手に取った時にどう思い読み進め何を得るのかは僕には分かりませんが、僕としてはもう少し深いところまで掘り下げた内容を読みたかったです。

いろいろと書いた後で言うのもなんですが、面白いか面白くないかで言えば、面白い本だとは思います。