決壊 上巻決壊 上巻
著者:平野 啓一郎
販売元:新潮社
発売日:2008-06-26
おすすめ度:4.0
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決壊 下巻決壊 下巻
著者:平野 啓一郎
販売元:新潮社
発売日:2008-06-26
おすすめ度:4.0
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Tairaオススメ度:★★

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2002年10月、全国で次々と犯行声明付きのバラバラ遺体が発見された。
被害者は平凡な家庭を営む会社員沢野良介。
事件当夜、良介はエリート公務員である兄・崇と大阪で会っていたはずだったが―。
絶望的な事件を描いて読む者に“幸福”と“哀しみ”の意味を問う衝撃作。

“悪魔”とは誰か?“離脱者”とは?止まらない殺人の連鎖。
ついに容疑者は逮捕されるが、取り調べの最中、事件は予想外の展開を迎える。明かされる真相。
東京を襲ったテロの嵐!“決して赦されない罪”を通じて現代人の孤独な生を見つめる感動の大作。
衝撃的結末は。
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ううん。どうだろうか。
読み終わって最初に感じた正直な気持ちです。

面白い訳でもなく面白くない訳でもない、こう言うと無責任な感想ですが、実際そのどちらにも偏ることができない内容だったと僕は思います。

物語で取り上げられる、現代人の誰もが持つであろう心の闇が、インターネットを介することで増長し増殖し結果として最悪な形として帰結されるというテーマは、興味深く引き込まれる内容ではありましたが、それを語る文章が無駄に長いように感じました。

また、物語を語る視点があまりにも唐突に替わりすぎるのも文章を読みにくくしている原因ではないかと思います。
文章が長い上に視点がめまぐるしく替わるので、読み進めるうちに、その文章が誰の視点で書かれたものかを見失いがちになります。

それと、心に闇を抱える現代人が殺人を犯してしまうというくだりも、少々リアリティに欠けるように感じました。
あまりにも動機が意味不明というか、誰の身にも卑劣極まりない犯罪は起こりえるということを仄めかしつつもそのわりにはクドクドと殺人に至る経緯が説明じみているというか、なんと言うか。

物語の後半に突然飛び出してくるテロという言葉も、少々強引な感が否めないとも思います。

なかなか偉そうな感想を長々と書いてみましたが、なんだかんだ言いつつも寝る間を惜しんで読破した本ではあります。
そういう意味では物語にしっかりと引き込まれていたんだろうなと思いますね。

という訳で面白いと面白くないのちょうど中間ってところが僕の感想です。
あしからず。