東京島東京島
著者:桐野 夏生
販売元:新潮社
発売日:2008-05
おすすめ度:3.0
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Tairaオススメ度:★★★

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あたしは必ず、脱出してみせる――。ノンストップ最新長篇!
32 人が流れ着いた太平洋の涯の島に、女は清子ひとりだけ。
いつまで待っても、無人島に助けの船は来ず、いつしか皆は島をトウキョウ島と呼ぶようになる。
果たして、ここは地獄か、楽園か? いつか脱出できるのか――。
欲を剥き出しに生に縋りつく人間たちの極限状態を容赦なく描き、読む者の手を止めさせない傑作長篇誕生!
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2009年、最初に読んだ本がこの本です。

この本、壮絶な内容です。
31人の男と1人の女が無人島に漂流した場合に起こりえるであろう事象が、小説であるにも関わらずかなりのリアリティをもって描かれています。

例えば、小説であれば、たった一人の女性は美しかったり儚げであったりとしてロマンチックに描かれがちですが、この物語の場合は40歳過ぎの太めの女性が、女という性あるいは性欲を最大限に活用し男達を翻弄していきます。
また男達も、無人島に漂流したとたんサバイバル能力に長けるといったいかにもフィクション的な展開にはならず、一人一人が弱くて他力本願でありながらも他人との関わりは最小限に止めようとする、現代の人々であればきっとそうなるかも知れないなという設定で物語が描かれています。

人間の脆さや危うさ、本能のままに生きることの強さと怖さ、等々、きれいごとだけでは成立するはずが無い物事の条理を美化することなくグロテスクに描くことで、結果として人間という動物の美しさが表現できているのではないかと思いました。

ただ、終盤に入ると物語のリアリティが薄れ、突然小説的に話が飛躍した感があります。
どう考えてもその落ちは意味がない上に中途半端な気がします。

無人島に漂流し生活するという内容の本は数多くあると思いますが、その中でもこの本は完全に異質な部類の本だと思います。
そういった意味ではとても面白い本ではないかと思います。