Tairaおすすめ度:★★

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青葉ヶ丘中学3年A組―悪魔のようなこのクラスを、担任教師が名づけて「沈黙の教室」。
何者かが不気味な恐怖新聞を発行し、つぎつぎと粛清の対象を指名していく。そして行なわれる残酷ないじめ。
やがて20年がたち、クラスの同窓会の告知が新聞に載った時、報復を誓う者による大量殺人計画がひそやかに進行しはじめた!めくるめく多重構造の謎と、じわじわと忍びよる恐怖。
日本推理作家協会賞長篇賞に輝くサスペンス。
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少しネタバレになります。

先ず読後の正直な感想は、"物足りない"です。
折原一の小説と期待し過ぎたのか、折原一の得意とする複雑かつ巧妙に張り巡らせた伏線的な面白味に欠け、正直ガッカリ感は否めませんでした。

物語の内容についても、"20年前の中学校で行われた残酷ないじめ"が物語の重要なポイントとされていますが、小説の中では特に具体的な残酷ないじめの描写は無く、ただ何となく陰湿ないじめが横行しており、それによって自殺者が出たと言われても、少々無理があるように思いました。

また、この物語では、殺人計画というメモ書きを持った記憶喪失の青年や、上記のクラスの教師をしていた先生、クラスの全員に報復を誓う者、等々いくつかの視点によって物語が語られていきますが、それぞれの人物の行動が意味ありげに描かれながらも全くもって短絡的で、しかもそれぞれの者が報復を企てるにしては動機となる出来事があまりにも中途半端すぎて、物語の中の登場人物達が怒り心頭に発していても、なかなか感情移入できず、逆になぜそういう発想になるのか理解に苦しむという点が多々ありました。

特に中途半端に感じる点が、クラスの不良グループとして描かれている登場人物達ですね。
各章に意味ありげに登場するのですが、結局彼らの登場は全く意味を持っていなくて、単にいじめの首謀者なのかもしれないという程度の役割でしかなかったという点も拍子抜けでした。

と長々と偉そうに批判的なことを書いてみました。
あくまでも私見です。あしからず。