撓田村事件―iの遠近法的倒錯


この本はタイトルだけで僕の心を鷲掴みにしました。
しおなだむらじけん。ミステリー好きにはたまらないタイトルですよこれ。うんほんと。

そして肝心の内容はと言うと、これまた凄まじい。
スプラッタ的に凄まじいという意味ではなくて、軽いタッチで描かれている物語の全てが実は細かく計算された伏線であることに、またその伏線が後からとってつけたようなものではなくて徹底して練りに練られた伏線であることに、凄まじさを感じました。

最初は軽いタッチで小さな村に過ごす少年少女の恋愛的な話が物語の中心となっています。
そして少しだけその物語になにやらミステリーっぽい雰囲気が出てきたぞっと思った矢先、殺人事件が起こります。
なんだなんだどうしたどうした、と考えているうちにまた一つ、また一つ。
話が見えそうで見えないところを何度か行ったり来たりしているうちに、冴えないけれど怪しげな彼がいつのまにやら名探偵君に大変身。
名探偵君がサクサクッと事件の全貌を解きだしたかと思ったら、あとはあっちの事件とこっちの事件とが密接に絡み合っていることを示す伏線の雨あられ。
ほんとに、これでもかこれでもかと怒濤の謎解き。
正直、僕は話の急展開に何度か付いていけなくなり、読んでは戻り、戻っては読み返しを繰り返すことで何とか事件の奥深くの謎を理解することが出来ました。

久々に心から読み応えのあったミステリだと思いました。