
先日、東京に行った際に那覇空港で手にしたのがこの本でした。
折原一の物語は叙述テクニックが大胆かつ巧妙に取り入れられていることで有名ですので、そのことを念頭にじっくりと読み進めてみました。
物語は、ある二つの家族が惨殺されるという悲惨な事件と、万引きをした青年が決して自分の名前を語らない(沈黙者)という小さくも不可思議な事件とが交互に描かれています。
僕は、あまりにも念入りに物語を読み進めていましたので、ある程度読んだ時点でこの二つの事件の時間軸のズレを意識するようになりました。
犯人はなかなか検討がつかないものの時間軸のズレを意識することで、最終的には作者が物語のいたるところにちりばめたヒントのいくつかは見つけることができました。
これらのヒントを見つける度に、作者の巧妙すぎる叙述テクニックの取り入れ方に心から感動しました。ホント惚れ惚れします。
ただ、沈黙者が沈黙していた理由を知った時は、もっと大掛かりな理由を期待していた僕にはすこし物足りなさを感じました。
来週も東京出張が決まりましたので、今度は「倒錯」シリーズを読んでみようかと思います。
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