少し前の事。

僕は、大学時代に出会った大切な友人が何人かいる。
その大切な友人の一人から電話があった。

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何か人生の転機として行動を起こしたいと考えている。
俺の住む宮古島でやれる事は限られているが、一つ面白いイベントが宮古島にはある。
全日本トライアスロン宮古島大会だ。
これに出場しようと思っている。
やるだけやってみる。やらないと何も始まらないからな。

お前の事だから、お前も常により高い場所を目指して頑張っていると思う。
俺も負けられないからな。
結果は連絡するよ。楽しみにしててくれ。
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彼と僕は、大学時代に共に音楽活動を行ったり人生について厚く語ったりと、お互いに刺激し合っていた仲間であり、大学卒業後もお互いに別々の道を選びつつもそれぞれカッコ良い人生をおくる事を誓っていた。

トライアスロン当日、彼は見事に完走を果たした。
すぐに僕は電話し。心から「おめでとう」と何度も何度も祝った。

そして昨日、このトライアスロン大会を特集した番組が放送された。
彼から、「このテレビには俺もちょっと出てるから良かったら見てくれよ。」と連絡があったので、昨日仕事だった僕はビデオに撮って見る事にした。

その番組に彼は「ちょっと出ている」訳ではなかった。
少しどころか、この番組自体が彼を特集していた。
驚いた事に、彼自身がナレーションも担当していた。
勿論、別の選手も所々に取り上げられ、その部分はちゃんとしたアナウンサーがナレーションを挟んではいるが、彼が出ている部分は全て彼自身がナレーションをしていた。

レースへの挑戦、疲労、苦悩、沿道からの応援、励み、諦めない気持ち。彼自身が感じた気持ちが彼によって淡々と語られていく。

そしてゴールが見える。

彼の人望を表すように、彼の後ろには何十人という伴走者。いくつもの大きな応援幕。そしていくつもの花束。

彼は笑顔で応える。
彼の背中を幾数ものライトが照らす。

ゴールの瞬間。

高々と両手を上げる。

彼が叫ぶ。


気がつけば僕は感動し震えていた。泣いていた。

動けなかった。言葉も出なかった。彼の叫び声が心にまで響いた。

ゴールの瞬間、彼は自身のナレーションで「このゴールは出発点だ。」と言っていた。

僕も負けられない。